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一般的に矯正において「前歯」とは左右の前から3番目の歯までの上下合わせて合計12本の歯のことを指します。ご自身の前歯の歯並びにコンプレックスを感じ、「気になる部分だけをピンポイントで治したい」と考えている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、どのようなケースが前歯だけの矯正治療が可能なのか、そのメリット、デメリットについて詳しく解説していきます。

結論からお伝えすると、お口の状態によっては、マウスピース矯正で「前歯だけ」を治療することは十分に可能です。
ただし、部分矯正が適応となるケースは、お口全体を整える全体矯正と比較すると限定的です。
噛み合わせ自体に大きな問題がある方や、歯ぎしりなどで噛む力が極端に強い方などは、前歯だけの改善ではかえって全体のバランスを崩す恐れがあるため、治療が難しい場合もあります。
では、具体的にどのような状態であれば、部分矯正で理想の歯並びを手に入れられるのでしょうか。

以下のような歯並びで悩んでいる方は、前歯だけのマウスピース矯正で治療できる可能性があります。
ただし基本的には、奥歯の噛み合わせが良好であることや、歯の乱れが比較的軽度であることが前提となります。
上の前歯が数mm程度、前方に出ている状態であれば、マウスピースによって歯を少しずつ後方へ移動させることで、口元の印象を改善できる可能性が高いです。
歯と歯の隙間を埋めるように移動させるため、比較的短期間で効果が見込めます。
犬歯(前から3番目の歯)が少し外側に押し出されているような軽度の状態であれば、前歯だけの治療で整えられるケースが多くあります。
歯が重なり合って生えている「叢生(そうせい)」も、軽度であれば対応可能です。
ただし、歯を並べるためのスペースが大幅に不足している場合や、奥歯の噛み合わせから改善が必要な場合は、全体矯正を検討する必要があります。
過去に矯正治療を行って歯並びをキレイに整えても、保定やメンテナンスが不十分の場合、元に戻ってしまう後戻りが起きることがあります。
このような後戻りの再治療には有効です。

奥歯の噛み合わせに問題がある場合、前歯だけの矯正治療は行うことができません。
奥歯は外から見えにくいため「前歯の歯並びさえ綺麗になれば十分」と考える方も多いかもしれません。しかし、土台となる奥歯が正しく噛み合ってない状態で前歯のみを動かしてしまうと、お口の中のバランスがさらに崩れてしまい、将来的に顎関節症や全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
本来、矯正治療の目的は、「見た目を整えること」だけではありません。
食べ物をしっかり噛む、正しく発音するといったお口全体の機能を正しく整えることが重要です。
歯を並べるスペースが大幅に足りない場合、抜歯が必要になるケースがあります。
抜歯を行うと歯を動かす距離が数ミリ単位と大きくなりますが、前歯だけの矯正ではその広い隙間をきれいに閉じることが困難です。
また、歯を大きく移動させるには、奥歯を「支え」にして全体のバランスを整える必要があり、無理に前歯だけを動かそうとすると、噛み合わせが崩れるリスクもあるため、抜歯を伴う場合はお口全体をケアする全体矯正が推奨されます。
重度の歯周病がある場合、すぐに矯正治療を始めることはできません。歯科矯正は、歯を支える顎の骨(歯槽骨)の作り替えられる仕組みを利用して歯を動かしていく治療です。
しかし、歯周病はこの骨が溶けてしまっている状態のため、無理に歯に力を加えると、歯がさらにぐらついたり、最悪の場合は抜け落ちる恐れもあります。重度の歯周病がある場合、まずはその治療を優先しましょう。
お口の中にインプラントが入っている場合、前歯だけの矯正治療では対応できないことがあります。インプラントはご自身の歯とは異なり、骨と完全に結合しているため、動かすことができません。
動かないインプラントを避けながら前歯だけを動かそうとしても、全体のバランスをきれいに整えることが難しい場合があります。
そのため、インプラントの位置や本数によっては、全体の噛み合わせを考慮した治療計画が必要になることがあります。

前歯だけのマウスピースを用いた部分矯正には、主に以下のようなメリットがあります。一方で、治療を検討する上ではデメリットについても正しく知っておくことが大切です。
前歯だけの部分矯正は、動かす歯が少ないため、全体矯正と比較して治療期間が短くなります。個々のお口の中の状態によって異なりますが、全体矯正では2〜3年の期間を要しますが、部分矯正では数ヶ月〜1年程度と比較的短期間で治療が完了する傾向にあります。
前歯だけの部分矯正は、全体矯正に比べて、費用を大幅に抑えて治療できます。当院での費用の目安は、全体矯正では70~140万円ですが、部分矯正を行う際の費用は、50〜70万円ほどが目安になります。
部分矯正は歯を動かす量も少ないため、マウスピースの枚数も少なく済みます。また、治療期間も数ヶ月から1年程度と短く、その分通院回数も最小限に抑えられるため、忙しい方にとっても費用と時間の両面で節約につながります。
マウスピースを使用するインビザライン矯正は、透明で周囲に気づかれにくいこともメリットの1つです。
従来のワイヤー矯正でも前歯だけの治療は可能ですが、金属製の装置は目立ちやすいです。最近では白や透明の目立ちにくいワイヤー装置もありますが、それでもマウスピースと比較すると、目につきやすいです。
そのため特に、人前に立って話す機会が多いお仕事の方や、結婚式や成人式などの大切なイベントを控えている方にとって、適した選択肢といえます。
従来のワイヤー矯正では、ご自身で装置を取り外すことができません。食事中も装置をつけたままの状態のため、どうしても食べかすが溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
一方で、インビザライン矯正はご自身で自由に取り外しができます。食事の際は外して普段通りに食事を楽しめるほか、装置自体もすぐに洗浄でき、歯磨きもいつも通り行えるため、お口の中を清潔に保ちやすいというメリットがあります。
インビザライン矯正で使用するマウスピースは、プラスチック製のため、金属アレルギーをお持ちの方でも安心して治療を進めることができます。
一方、従来のワイヤー矯正は基本的に金属製の装置を使用するため、アレルギーがある場合は使用できる素材がかなり制限されることがあります。
上記ではメリットについてご紹介しましたが、治療を検討する上ではデメリットについても正しく知っておくことが大切です。
マウスピースによる矯正に限らず、部分矯正で対応できる歯並びは限られています。
患者様ご自身が「前歯だけを治したい」と希望されていても、奥歯の噛み合わせに問題がある場合や、歯を並べるために抜歯が必要なケース、また重度の歯周病がある場合などは、歯を大きく移動する必要があるため、部分矯正には向いていません。
もし無理に前歯のみの治療を行ってしまうと、噛み合わせのバランスがさらに崩れたり、歯の寿命を縮めたりと、将来的なお口の健康を損なうリスクも否定できません。
まずは歯科医院で精密な検査を受け、ご自身の歯並びが部分矯正の適応範囲内なのか、全体矯正を行うべきなのかを、歯科医師に判断してもらうことが大切です。
前歯だけの部分矯正では、歯が重なり合っていたり、並べるためのスペースが不足していたりする場合、「ディスキング」という処置が必要になることがあります。
これは、歯の側面をわずかに削り、歯を動かすための隙間を確保する方法です。
削る量は最大でも0.5mm程度とごくわずかで、歯の表面のみを処置するため、痛みを感じることはほとんどありません。
しかし、わずかであっても健康な歯を削ること自体に抵抗を感じる方は少なくありません。不安がある場合は事前に担当の歯科医師と相談し、削る範囲や必要性について十分に納得した上で治療を進めるようにしましょう。
前歯だけの部分矯正では、奥歯の歯並びや噛み合わせを改善することはできません。
しかし、奥歯が正しく噛み合っていることは、食事の際の咀嚼や顎関節の健康のために非常に重要です。
もし奥歯の噛み合わせに問題があるまま放置すると、食べ物をうまく咀嚼できず消化器官に負担がかかったり、顎の関節に過度な負荷がかかって将来的に「顎関節症」を引き起こしたりするリスクがあります。
また、奥歯の位置にズレがある状態で前歯だけを整えても、お口全体のバランスが不安定になりやすく、せっかく綺麗に並んだ前歯が治療後に「後戻り」したり、特定の歯に負担が集中して新たなトラブルを引き起こしたりすることもあります。見た目の改善だけでなく、将来的な健康も考えて治療を選択することが大切です。

前歯だけのマウスピース矯正にかかる期間は、歯並びの状態により個人差がありますが、数ヶ月〜1年ほどが目安です。
お口全体の噛み合わせを整え、奥歯も大きく移動させる全体矯正が約2〜3年かかるのに比べ、短期間で治療を完了することができます。
一般的な通院頻度は1ヶ月に1度とされていますが、当院では独自のシステムを活用することで、3〜6ヶ月に1度の通院でも適切に治療を進めることが可能です。
なお、治療直後の歯は動きやすいため、歯の位置に定着させるための「保定装置(リテーナー)」の使用が必須です。
実際に患者様がどの程度の期間で完了できるかは、精密検査を行う必要がありますので、まずは歯科医師へご相談ください。

前歯だけのマウスピース矯正にかかる費用は、歯並びの状態によりますが、30〜50万円ほどが目安となります。
70〜100万円程度かかる全体矯正と比較すると、費用を抑えて治療できるのが大きなメリットです。
ただし、歯科医院によっては月々5,000円〜1万円ほどの「調整料」が別途必要な場合もあります。また、使用しているマウスピースのブランドや料金も歯科医院ごとに異なるため、検討の際はカウンセリングで総額を確認しておくと安心です。
なお、矯正治療は基本的に自由診療(保険適用外)となりますが、条件を満たせば医療費控除を受けられる場合があります。
単なる見た目の改善(審美目的)ではなく、噛み合わせの不具合など、機能的な問題の改善に必要だと歯科医師が診断した場合は、控除の対象となる可能性が高くなります。ご自身が対象になるかどうか、事前に歯科医師へ相談してみるのが良いでしょう。

この記事では、マウスピース矯正で前歯だけを治療することについて詳しく解説しました。個々の口腔内の状態により、前歯だけの矯正治療が可能かどうかは変わります。
当院 KAM Dental OKAYAMA(岡山市北区)では、インビザラインでの歯列矯正や治療に関する心配事にも歯科医師がお答えし、ご相談にのることができます。前歯の歯並びが気になっている方は、ぜひ一度ご相談ください。
初診カウンセリングから精密検査、治療計画の立案、治療開始、保定まで、豊富な経験と技術に基づいた診療を提供しています。また、遠隔モニタリングを活用した効率的な治療管理により、無理のない通院頻度で矯正治療を進められるのも特徴です。
患者様一人ひとりの歯並びや骨格に適したプランを提案し、透明性のある診断と治療結果を追求します。インビザライン治療を検討中の方、矯正治療をできるだけはやく終わらせたい方、治療の選択肢について詳しく話を聞いてみたい方は、ぜひKAM Dental OKAYAMA にご相談ください。