2026.10.20

インビザライン矯正と親知らずの関係とは。抜歯が必要になるケースを解説

この記事を監修した人

KAM Dental OKAYAMA院長 横田元煕

KAM Dental OKAYAMA院長

院長の横田は、矯正治療、特にインビザラインとインプラント治療等を包括した全顎治療を専門としています。大阪大学歯学部を卒業後、奈良県立医科大学口腔外科で勤務し、親知らず抜歯を伴う矯正治療や、口腔外科の知見を活かし患者様の負担を軽減するよう治療の計画をします。

インビザラインドクターであるとともに、MeLoS代表講師、ORTC online講師、水橋保寿堂製薬会社顧問(2024年)などを兼任、また日本口腔外科学会など複数の学会に所属し、専門性と信頼性を重視した歯科医療の提供を心掛けております。

矯正治療をご検討中の方の中には、「自分には親知らずがあるのだろうか」「矯正を始める前に抜く必要があるのかな」と疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

実は、親知らずの状態や生え方は、インビザライン治療の進行や仕上がりに大きく関係してきます。すべての方で抜歯が必要なわけではありませんが、親知らずの位置や歯並びへの影響によっては、治療前に抜歯を行った方がスムーズに綺麗な歯並びを目指せるケースが少なくありません。

今回は、インビザライン矯正における親知らず抜歯の必要性について分かりやすく解説します。

インビザライン矯正をする場合、
親知らずの抜歯は必要?

インビザライン矯正をする場合、親知らずの抜歯は必要?

まず、そもそも「親知らず」とはどのような歯なのか、そしてインビザライン矯正を受ける際、必ず抜歯をしなければならないのかについて説明します。

そもそも親知らずとは

親知らずとは、永久歯(大人の歯)の中で一番奥(前から数えて8番目)に生えてくる歯のことで、「第3大臼歯」や「智歯」とも呼ばれます。親知らずは20歳前後で生えてくることが多く、物心ついて親の手を離れてから生えるため、「親が知らない間に生えてくる歯」という由来からその名がついたといわれています。

親知らずは基本的に上下左右あわせて4本ありますが、元々1本もない方や1〜3本だけある方など、本数には個人差があります。

また、綺麗に生え揃う方もいれば、歯ぐきや顎の骨の中に埋まったままの方、半分だけ顔を出している方など、生え方も人それぞれです。

親知らずの抜歯は必ずしも必要なわけではない

親知らずは、必ずしも抜かなければいけないわけではありません。たとえば、まっすぐ綺麗に生えていて上下しっかり噛み合っている場合や、完全に骨の中に埋まっていてトラブルを起こすリスクが低い場合は、無理に抜く必要はありません。

また、親知らずの根元が大きな神経や血管に近く、抜歯によるリスクや後遺症の可能性が高いと判断されるケースでは、あえて残して様子を見るという選択をとることもあります。

しかし、親知らずが正しく生えるスペースが不足していて、斜めや横向きに生えたり、歯ぐきが半分かぶさっているような状態の場合は、食べ残しや細菌が溜まりやすく、周囲の歯ぐきに炎症を起こしやすくなります。

また、手前の歯を押し出してしまい、全体の歯並びを乱す危険性もあります。こうしたトラブルが起きている場合や将来的なリスクが高い場合には、抜歯を検討することもあります。

インビザライン矯正で
親知らずを抜歯したほうが
良いケース

インビザライン矯正で親知らずを抜歯したほうが良いケース

インビザライン矯正をスムーズに進めるためには、事前の親知らずの抜歯をした方が良いケースがあります。ここでは、治療開始前にあらかじめ親知らずを抜いておいた方が良い代表的なケースについて、詳しく解説していきます。

他の歯を圧迫している

親知らずが横向きや斜めに生えている場合、隣の歯を強い力で押し続けてしまうため、インビザラインを開始する前に抜歯が必要となるケースが多くあります。

残したまま矯正を進めると、他の歯を押して歯列全体に力がかかり、せっかくきれいに整えた歯並びが再び崩れる後戻りを引き起こす原因になります。

さらに、圧迫された手前の歯の根元に大きな負担がかかったり、歯と歯の間にかみ合わせの負荷が集中して痛むなど、お口のトラブルの原因になります。トラブルを防ぎ、歯並びを安定して維持するためにも、他の歯を圧迫している親知らずは早めに対処しておくことが大切です。

親知らずが虫歯になっている

親知らずが虫歯になっている場合は、事前の抜歯が必要になる可能性が高いです。親知らずはお口の一番奥にあるため治療器具が届きにくく、根の治療や詰め物・被せ物といった虫歯治療自体が困難なケースが多いです。

特に半分だけ生えているような状態では、食べカスが溜まりやすく歯ブラシも届かないため、治療しづらいだけでなく、治療をしても虫歯を再発するリスクが非常に高くなります。

また、虫歯を放置すると手前の健康な歯にまで虫歯を広げてしまう危険性もあります。インビザライン矯正を計画通りスムーズに進めるためには、虫歯になった親知らずは早めの抜歯をおすすめします。

痛み・腫れが常習化している

親知らず周辺の痛みや腫れが繰り返されている場合は、親知らずの周囲に細菌が繁殖し、慢性的な感染(智歯周囲炎)を引き起こしている可能性が高いため、抜歯をおすすめします。

応急処置や鎮痛剤などで一時的に症状が治まったとしても、原因となる親知らずが残っている限り、体調の変化や免疫力の低下によって何度も再発を繰り返してしまいます。

また、炎症が起きると、インビザラインのマウスピースの装着が苦痛になり、計画通りに歯を動かせなくなったりする恐れもあります。

マウスピースと干渉がある

親知らずがマウスピースと干渉している場合も、抜歯が必要となる理由のひとつです。親知らずが半分だけ生えていたり、外側や斜めに飛び出していたりすると、マウスピースが親知らずに当たって奥までしっかりはまらなくなってしまいます。

マウスピースが浮いた状態で装着し続けると、歯に正しい力がかからず、シミュレーション通りの位置に歯が動かなくなってしまい、治療の遅れの原因になりかねません。

また、無理に装着を続けるとマウスピースが壊れてしまったり、干渉している歯ぐきに当たって痛みや傷を作ってしまう可能性もあります。

歯を動かすスペースを確保できない

重度の叢生(ガタガタが大きい歯並び)の場合、歯を綺麗に並べるためのスペース不足が大きな課題となります。歯を並べるスペースが足りないまま矯正を進めると、歯が収まりきらずに前歯が押し出されて出っ歯になってしまったり、思い通りの歯並びにならなかったりする可能性があります。

親知らずを抜いておくことで、奥歯をさらに後ろ側へ移動させるためのスペースを確保できます。

親知らずが斜め・横向きに生えている

親知らずが斜めや横向きに生えている場合は、治療開始前に抜歯をすることがほとんどです。まっすぐ生えていない親知らずは、隣の健康な奥歯(第二大臼歯)の根元を押すように埋まっていることが多く、そのまま放置すると隣の奥歯の根を溶かしてしまったり(歯根吸収)、歯と歯の間に汚れがたまり、虫歯や歯周病を引き起こしたりしてしまいます。

また、インビザラインで歯並びを綺麗に動かそうとしても、歯の移動を邪魔してしまいます。せっかく動かした歯並びが親知らずの押し出す力によって後戻りしてしまう原因にもなります。

インビザライン矯正で
親知らずを抜歯しなくても
良いケース

インビザライン矯正で親知らずを抜歯しなくても良いケース

インビザライン矯正において、必ずしもすべての親知らずを抜かなければならないわけではありません。状態によっては抜歯を行わずに治療を進められるケースもあります。ここでは、親知らずを抜かずに済む主なケースについて、分かりやすくご紹介します。

親知らずがまっすぐ生えている

親知らずがまっすぐ生えていて、上下の歯と正しく噛み合っている場合は、基本的に抜歯をする必要はありません。お口やあごの骨格がしっかりしている方によく見られる状態です。

まっすぐに生えた健康な親知らずは、歯列の一員としてしっかり物を噛む役割を果たしてくれます。

さらに、将来万が一他の奥歯を虫歯やトラブルで失ってしまった際に、自分の親知らずをそこへ移植する「歯の移植(移植歯)」に使ったり、ブリッジ治療の土台として活用できたりするという大きなメリットもあります。しっかりブラッシングができて清潔に保てる状態であれば、無理に抜かず大切な自分の歯として残しておく選択肢が最適です。

骨の中に完全に埋まっている

親知らずが歯ぐきや顎の骨の中に完全に埋まっている状態(完全埋伏歯)であり、隣の歯や歯並びに悪影響を及ぼす可能性が低く、インビザライン矯正の妨げにならない場合は、無理に抜歯をする必要はありません。

完全に骨の中に埋まっている親知らずは、お口の中に露出していないため虫歯や歯周病のリスクが低く、他の歯を押して歯並びを崩す恐れがなければ、そのまま残しておいても問題がないケースが多いです。

ただし、埋まった状態であっても、加齢や体調の変化に伴い骨の中で位置が少しずつ動くことがあるため、定期的にCTやレントゲンで検査し、状態に変化がないか確認していくことが大切です。

抜歯にリスクが伴う

親知らずが大きな神経や血管に近い位置にある場合、抜歯によって後遺症を起こすリスクが高くなるため、無理に抜かず残す判断がされることがあります。

特に下顎の親知らずの根元近くを通る「下唇の感覚を司る神経」に損傷が及ぶと、唇やアゴに痺れが残る恐れがあるため、あえて抜歯を行わずにインビザライン矯正を進めるのが安全な選択となります。

ただし、矯正に伴う歯の移動でお口の環境が変わったり、親知らず自体が後から動いたりすることもあるため、定期的にレントゲン等で安全性を確認しながら経過観察を続けていくことが重要です。

歯を削ってスペースを確保できる

歯の側面をごくわずかに削る「ディスキング(IPR)」を行うことで、親知らずを抜かずにインビザライン矯正を進められる場合があります。ディスキングで削る量は1箇所あたり0.5ミリ程度とほんのわずかですが、複数の歯に行うことで、歯をきれいに並べるための十分なスペースをお口の中に生み出すことができます。

軽度から中程度の叢生(歯のガタつき)であり、親知らずが歯の移動の邪魔をしていない状態であれば、非常に有効な手段となります。

インビザライン矯正で
親知らずを抜歯するタイミング

インビザライン矯正で親知らずを抜歯するタイミング

インビザライン矯正を行う上で親知らずを抜歯するタイミングは、治療開始前(2〜3ヶ月前)が一般的です。あらかじめ抜歯しておくことで、奥歯を後ろへ下げるスペースを確実に確保できるほか、抜歯によって変化した歯ぐきの形に合わせてマウスピースを作成できるためです。

また、矯正期間中に親知らずが急に痛んだり腫れたりして、治療が中断するリスクも防げます。

ただし、歯並びの動きやすさや骨の状態、神経との位置関係によっては、歯がある程度動いてから抜く場合や、治療完了後に抜歯を行うケースもあります。当院では事前の精密診断を行い、患者様のお体への負担や治療の安全性を最優先に考慮した上で、最適な抜歯スケジュールをご提案いたします。

インビザライン矯正で親知らずの
抜歯が必要か知りたい方は、
岡山市北区の
KAM Dental OKAYAMAに
ご相談ください

インビザライン矯正で親知らずの抜歯が必要か知りたい方はKAM Dental OKAYAMAにご相談ください

この記事では、インビザライン矯正における親知らずの抜歯の必要性について詳しく解説しました。個々の親知らずの状態や生え方により、抜歯が必要かどうかは異なります。

当院 KAM Dental OKAYAMA(岡山市北区)では、インビザラインでの歯列矯正や治療に関する心配事にも歯科医師がお答えし、ご相談にのることができます。インビザライン矯正を検討されている方で親知らずについて気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。

初診カウンセリングから精密検査、治療計画の立案、治療開始、保定まで、豊富な経験と技術に基づいた診療を提供しています。また、遠隔モニタリングを活用した効率的な治療管理により、無理のない通院頻度で矯正治療を進められるのも特徴です。

患者様一人ひとりの歯並びや骨格に適したプランを提案し、透明性のある診断と治療結果を追求します。インビザライン治療を検討中の方、矯正治療をできるだけはやく終わらせたい方、治療の選択肢について詳しく話を聞いてみたい方は、ぜひKAM Dental OKAYAMAにご相談ください。