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「マウスピース矯正で歯並びを整えれば、顎関節症も一緒に治りますか?」というご質問を、患者様からいただくことがあります。
実際のところ、顎関節症といってもその原因はひとりひとり異なるため、マウスピース矯正によって症状が改善できるかどうかは、その原因次第で変わってきます。
この記事では顎関節症とは何か、マウスピース矯正で症状が改善しやすいのはどのようなタイプの方なのかを詳しく解説します。顎関節症でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

顎関節とは、耳の手前あたりにある、口を開け閉めするときに動く関節のことです。この顎の関節や、その周りにある筋肉・組織に負担がかかり、痛みや違和感を引き起こすさまざまな症状のことを総じて「顎関節症」といいます。
具体的な症状としては、口を開けたときに顎やこめかみ辺りが痛む、口の開け閉めをするときに音が鳴る、口が大きく開かないなどがあります。「あくびをしたら顎が痛い」「固いものが噛みにくい」といった日常のちょっとした不快感は、実は顎関節症のサインかもしれません。
顎関節症の原因は1つとは限らず、日常生活の中にある様々な要素が関係しています。主な原因としては、精神的なストレスや、生まれつきの顎の構造の問題、歯並びや噛み合わせの異常などがあげられます。
また、知らず知らずのうちに毎日の生活で行っている日頃の癖が、顎の関節に大きな負担をかけていることも多いです。
具体的には、寝ている間や仕事に集中しているときの歯ぎしり・食いしばり、ご飯を食べるときに片方ばかりで噛む癖、硬いものを好んでよく食べる習慣などです。
さらに、悪い姿勢、頬杖をつく癖、うつ伏せで寝る習慣、口呼吸なども要因になります。顎関節症は何かひとつの理由だけで発症するよりかは、様々な原因が日常生活の中でいくつか組み合わさって起こることが多いです。

顎関節症の原因は一人ひとり異なるため、マウスピース矯正によって症状が改善されるケースと、改善されないケースがあります。
歯並びや噛み合わせの悪さが原因で、顎関節に過度な負担がかかっている場合は、矯正治療によって全体のバランスが整うため、症状の改善が期待できます。
また、治療中に装着するマウスピースそのものがクッションのような役割を担い、過剰な力から顎や歯を保護できるというメリットもあります。
一方で、顎の痛みの根本的な原因が、激しい歯ぎしりや食いしばり、ストレスによる筋肉の緊張、あるいは骨格そのものの変形や日常の悪姿勢などにある場合は、いくら歯並びだけを綺麗に整えても顎への負担は減りません。
マウスピース矯正によって顎関節症の症状が改善されやすいのは、歯並びや噛み合わせの乱れが主な原因になっている場合です。
出っ歯や受け口、あるいは歯がガタガタに生えている叢生などの状態では、上下の歯が正しい位置で噛み合いません。
この状態で食事や会話を行うと、物を噛むたびに顎の関節やその周囲の筋肉に過剰な力がかかってしまいます。長期間この負担がかかり続けることで、顎の痛みや雑音、口が開かないといった顎関節症の症状が引き起こされます。
マウスピース矯正を行い、歯並びを整えて正しい噛み合わせになると、顎の関節にかかっていた過度の負担がなくなり、力を均等に分散できるようになるため、顎関節症の症状が根本的に改善される可能性が高いです。
顎の痛みの根本的な原因が歯並びや噛み合わせ以外にある場合は、マウスピース矯正を行っても、顎関節症の症状が改善されない可能性が高いです。
たとえば、日頃無意識のうちに行っている歯ぎしりや食いしばりは、噛むための筋肉や顎関節へ、大きな負荷をかけ続けています。
また、精神的ストレスや過労、緊張状態が続くと、自律神経の乱れから筋肉が固まってしまい、顎の痛みを引き起こすことがあります。
さらに、頬杖やうつ伏せ寝、姿勢の悪さといった日常の癖、あるいは顎の骨の構造そのものの変形などが原因である場合、いくら歯並びだけを綺麗に整えても顎への負担は減りません。
顎の痛みや違和感の根本的な原因が歯並びとは別のところにある場合は、骨格的なアプローチや筋肉の緊張緩和、生活習慣の指導など、その原因に応じた治療を行わなければなりません。

マウスピース矯正を進める中で、実際に顎関節症が始まってしまったり、もともとあった症状が悪化したりする可能性は十分にあります。
ここでは、どのようなケースで顎関節症が悪化してしまうのか、その具体的な原因について詳しく解説していきます。
歯を動かしている期間は、上下の噛み合わせが一時的に不安定になりやすいです。顎関節はとても繊細なため、わずかな噛み合わせの変化でも影響を受け、関節や周りの筋肉に負担がかかって痛みや違和感が出ることがあります。
特にマウスピース矯正では、治療の途中で「奥歯が一時的に浮いて噛み合わなくなる」という現象が比較的起こりやすいです。
この状態でマウスピースを外して食事をすると、噛む際に奥歯が接触せず、顎の関節に普段以上の負荷がかかってしまいます。
その結果、関節のまわりに炎症が起き、物を噛んだり、顎を動かしたり、軽く押したりしたときに痛みや違和感を感じたり、今まで感じていた症状が悪化したりすることがあります。
このような症状は治療中の一時的なものであることが多く、矯正治療が終了して全体の噛み合わせが正しく整うと、和らいでいくケースが多くみられます。
マウスピース矯正では、1日のほとんどの時間をマウスピースを装着した状態で過ごします。そのため、普段はない異物が常にお口の中にある状態となり、無意識のうちに口のまわりの筋肉が緊張して、食いしばってしまう方が少なくありません。
また、矯正用のマウスピースには弾力性と適度な厚みがあるため、食いしばりを誘発しやすいです。
このような過度な食いしばりが日常的に続くと、顎を動かす筋肉が常に緊張しているような状態になり、顎関節やそのまわりの筋肉に持続的な負荷がかかり続け、顎を動かしたときの痛みや違和感、さらには頭痛や肩こりといった症状を引き起こしやすくなります。
事前の精密な診断や治療計画が不十分な場合には、顎関節症を引き起こしたり、もともとあった症状を悪化させることがあります。
矯正治療はただ見た目の歯並びを綺麗にするだけでなく、患者様それぞれの顎の骨の状態や周囲の筋肉のバランス、噛み合わせの高さなどを考慮した、精密な診断に基づく計画が不可欠です。これらを無視してただ歯を理想的な位置へ動かしてしまうと、顎の関節に過剰な負担がかかってしまう可能性があります。
具体的な例としては、過去に顎関節症にかかった経験があるにもかかわらず、それが事前の診断で見落とされたまま矯正を開始してしまった場合や、顎の骨格自体に左右のズレがあるのに、非対称な歯の移動を行ってしまった場合などです。
マウスピース矯正は手軽に始められるイメージがありますが、事前の精密な診断が不十分なまま治療を進めると、顎関節症の発症や悪化の原因になるため、治療前のしっかりとした検査と診断がとても重要です。

顎の違和感や軽い痛みだけだと、ついつい放っておきがちですが、顎関節症をそのまま放置してしまうと、お口周りだけでなく全身の健康にまで悪影響を及ぼしかねません。
ここでは、具体的にどのような症状が現れるようになるのか詳しく解説します。
顎関節症を放置してしまうと、症状が部分的な痛みに留まらず、お口全体の噛み合わせを徐々に悪化させてしまう可能性があります。顎関節症は左右どちらか片側だけに発症することも多く、片方の関節に痛みや違和感が出ると、無意識にそこを庇って反対側ばかりで物を噛むようになります。
この噛み癖が日常化すると、次第に顎の周りの筋肉のバランスが崩れ、顎の位置そのものがずれていってしまいます。
その結果、本来の噛み合わせが失われて反対側の関節にも過剰な負担がかかるようになってしまい、さらに噛み合わせが悪化するという悪循環に陥ってしまいます。
最初は顎の違和感や軽い痛みなど、日常生活に支障をきたさない程度の症状であっても、放置してしまうと症状は徐々に悪化していきます。まず顎を動かすたびに「カクカク」「ジャリジャリ」と不快な音が鳴る「関節雑音」がするようになります。
さらに進行すると、顎の関節内にあるクッションである関節円板が完全にずれてしまい、口が大きく開かなくなる開口障害へと進行しかねません。
こうなると、口が痛くて開けられない、大きいものや硬いものが食べられないといった、日常生活のあらゆる場面で問題が生じるリスクが高まります。
顎関節症の悪化は、お顔の左右のバランスが崩れて見た目まで悪影響を及ぼす可能性があります。顎関節症によって顎の関節内にあるクッション(関節円板)が本来の位置からずれると、骨の動きが左右でバラバラになってしまい、口を開け閉めするたびに顎がガクンと不自然に横へ動くようになり、お顔の骨格がゆがむ原因になります。
また、顎の痛みや違和感を庇って片側ばかりで噛む癖がつくことも、顔がゆがむ要因です。
物を噛む時に使う顎周りの筋肉は使えば使うほど発達するため、よく噛む側だけのエラが張っていきます。逆に、使わない側の筋肉は衰えていくため、お顔の左右差が生まれてしまいます。
顎関節の周りにある筋肉や骨は、頭や首、肩とつながっています。そのため、顎の異常をそのまま放置しておくと、お口周りだけでなく全身に不調が広がってしまう恐れがあります。
噛み合わせが悪くなると、物を噛むときに周りの筋肉が緊張して首や肩、頭の筋肉へと伝わっていき、肩こりや頭痛を引き起こす原因になります。
さらに症状が進むと、顎の関節のすぐ近くにある神経が圧迫されるなどして、めまいや耳鳴り、原因不明のだるさといった全身のトラブルを引き起こすこともあります。たかが顎の痛みと油断せず、全身の健康を守るためにも放置しないことが大切です。

この記事では、顎関節症はマウスピース矯正で改善できるのかについて詳しく解説しました。個々の口腔内の状態やライフスタイルにより、顎関節症の治療方法やマウスピース矯正による治療効果があるのかどうかは異なります。
当院 KAM Dental OKAYAMA(岡山市北区)では、インビザラインでの歯列矯正や治療に関する心配事にも歯科医師がお答えし、ご相談にのることができます。顎関節症でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。初診カウンセリングから精密検査、治療計画の立案、治療開始、保定まで、豊富な経験と技術に基づいた診療を提供しています。また、遠隔モニタリングを活用した効率的な治療管理により、無理のない通院頻度で矯正治療を進められるのも特徴です。
患者様一人ひとりの歯並びや骨格に適したプランを提案し、透明性のある診断と治療結果を追求します。インビザライン治療を検討中の方、矯正治療の選択肢について詳しく話を聞いてみたい方は、ぜひKAM Dental OKAYAMA にご相談ください。